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ReikoYamada

リトミカ・オスティナータ


伊福部昭先生の十年祭(没後10年)にあたる2016年の夏に、栃木県交響楽団〔6月12日・荻町修氏指揮〕、そして東京交響楽団〔7月10日・井上道義氏指揮〕と共演させて頂いた演奏会のライブCDがそれぞれリリースされ、多くの方に暖かいお言葉を頂き大変感謝している。両交響楽団ともそれぞれの特徴が発揮された熱く素晴らしい演奏で、本当に充実した至福の時を頂いた。


ある友人に「令子さんは『ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ』の演奏録音CDがこれまで6枚(内市販されている物は4枚)あるけど、その中でどれが一番気に入っている?どれが一番良い演奏だったと思う?」と聞かれたが、これは答えるのがなかなか難しい質問だ。もちろん、弾けば弾くほど、経験を積めば積むほど成長がある。技術的に楽になってくる部分があるので一層コントロールがきき、それに合わせてテンションも高まるのだが、それは初めてオーケストラと演奏した時の初々しさ・緊張感・必死さから湧き上がったテンションと比べてどうかという並べ方では計りきれない。


また、伊福部先生の音楽は、難しいところを器用に演奏するよりも、ギリギリの線で必死に向かい合っている時の方が、不思議と内なる声(叫び)が出てくるのか、聴衆のみなさんの心に響いてくれることが多い。特に『リトミカ・オスティナータ』は、レオナルド・ダ・ヴィンチの「力は制限に依って生まれ、自由に依って滅びる。」という言葉への憧れが心底にあったとおっしゃっているように、あえて色々な制限を与えて書かれた曲である。自分も1つ1つ書かれたことを丁寧になぞり進んでいく事で、とてつもなく大きなところに行きつくような曲であると感じており、演奏法も含め他の作品を演奏する時とアプローチの仕方が異なっている。

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