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ReikoYamada

Youth Concert


 

ミシガン州カラマズーで、5日間、計10回のユース・コンサートを終えた。


毎年恒例となったこのコンサートは、約1時間のプログラムのために、1日2回子供達がコンサート会場にスクールバスで入れ替わり立ち替わりやって来る。カラマズー周辺の100校ほどから、総勢およそ13,000人の児童生徒がオーケストラの演奏を聴きに来るのだ。


演奏会はナレーター付きのお話仕立てになっており、その中で音楽を上手にプログラミングしてあるのだが、そこでは単に音楽や作曲家を学べるだけではなく、生きていく上で大切なテーマも織り込んでいる。昨年のテーマは「どんなことがあっても諦めずに続ける」。今年は「本のページをめくって新しい展開が出てくるように、何があっても自分の次のページをめくって新たなストーリを書き込んでいく」といったようなテーマに即したストーリーが用意されていた。


音楽はストラヴィンスキーの『火の鳥』やバーンスタインの作品、そしてオペラの『ラ・ヴォエーム』のソプラノ独唱など盛りだくさん、お話に沿った効果音は打楽器奏者が見事に担当していた。


聴衆の児童生徒たちは演奏会で使われる作品と作曲家や音楽用語などを事前に授業で予習してきており、ステージ奥に吊るされたスクリーンにクイズが出てくると、「正解〜!イェーイ‼︎」といった盛り上がりで演奏会の始まりを待つ。オーケストラによる演奏が始まると、そのスクリーンに映し出される指揮者や演奏家のアップのおかげで今出ている音がどんな楽器によるものか目で確認できる上、お話に沿った絵や写真なども効果的に映し出される。


私がカラマズー交響楽団に入団した当時の教育コンサートは、いろいろな楽曲を使って音楽の知識や理解を深めてもらうというような、演奏する側から紹介提供する形のプログラムが多かったように思うが、こうして聴く側(しかも数校でなくいくつもの教育機関が1つの大イヴェントとしてまとまって参加している)とオーケストラ(Education Department)が一体となり児童生徒参加型の演奏会にしたことで、聴衆の興味の持ちかたや満足の仕方が大きく変わったように思う。


「音楽会はこうして聴くのですよ!拍手をちゃんとしましょう!」と教えられたかのようなおざなりの反応ではなく、面白い時は大声で笑い、ナレーターの言葉や問いかけに反応して賛同の声をあげたり驚いたりと、純粋な反応は舞台の私達にも伝わり、1曲ごとに一生懸命拍手をしてくれる笑顔の歓声を聞くと何かジンと心に響くものがある。


音楽の力の素晴らしさと子供達の前向きのエネルギーに力をもらえる5日間だった。

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